一般質問に登壇
本日、一般質問に登壇し以下の質問を行いました。
要旨を記しますが後日、動画もUPしますので是非ご覧ください。
①企業誘致に向けた取組みの成果と地域特性を踏まえたサテライトオフィス誘致の今後の取組みはどうか。
深刻な人口減少や経済停滞などの問題に直面する中、特に南予地域は、高齢化が進行するとともに若年層の流出が顕著である。このまま推移した場合、2040年には65歳以上の老年人口が地域人口の半数を占めるといった人口構造のゆがみが懸念される。
県では、本県を取り巻く変動要因をしっかりと捉えた上で、えひめ人口減少対策重点戦略やDXの推進による地域経済活性化など確かな戦略を持って、積極的な政策を展開している。人口減少という強力な波にのまれることなく、次世代が夢や希望を描ける未来を引き継いでいけるかは我々現役世代が前例にとらわれず、絶え間ない戦略的な挑戦を続けていくことにかかっている。
この難問を解く一つの突破口となるのが雇用・就労先の確保であり、魅力ある企業の地方への誘致が鍵を握る。近年、場所を選ばない働き方が急速に浸透し、都市部の企業では、より優秀な人材の確保を目指し、拠点の見直しや本社機能の地方移転への機運が高まった。本県でも、昨年、最先端のIT企業が砥部町や伊方町に進出したことで、地元高校の活性化や新卒者の就職につながっているほか、愛南町では平成29年度にサテライトオフィスが設置され、今も女性を中心に多くの住民の雇用の場となっている。企業誘致が実現すると、設備投資等による地域経済への貢献が期待できるほか、人口減少対策に直結する雇用の受け皿が創出されるなど、その効果は絶大である。
このように、全国的に自治体が誘致活動を繰り広げ、競争は激しさを増しているが、本県ではIT企業の進出の決め手となるデジタル人材育成やトライアングルエヒメ推進事業による地域特有のビジネスマッチングなど、他県に先駆けた取組みが功を奏し、多くの企業がサテライトオフィスの候補地として関心を寄せる。たとえ首都圏から遠い地域でも、立地を検討する企業に本県の強みをしっかりと伝えることができれば、地域に明るい光をもたらす優良企業の誘致が実現すると期待する。南予地域を次世代にも引き継げるよう、今後も様々な施策を講じて積極的に企業誘致を推進してほしい。
②ジョブカフェ愛workの取組みを踏まえ、今後、若者の県内就職の促進にどのように取り組むのか。
我が国の生産年齢人口は、平成7年を境に減少し、昨年時点ではピーク時から1,000万人以上減少するとともに、昨年生まれた子どもの数は約73万人と、統計開始以来、最少となり、少子化・人口減少に歯止めが掛からない状況である。本県でも、出生数・婚姻件数共に減少するほか、転出者数が転入者数を上回り、進学や就職を機とした若年層の流出が大きく、20~24歳の女性の転出超過が最も多くなっており、将来に対して危機感を抱く。
そのような中、県若年者就職支援センター、通称ジョブカフェ愛workが開設20周年を迎えた。同センターは県内での就職を希望する若者や保護者への支援のほか、優秀な人材を求める企業やキャリア教育に注力する教育機関への支援にも積極的に取り組み、大きな成果を挙げている。
設置された16年度は、全国的に就職難の状況にあり、国の資料によると17年2月時点の大学卒業者の就職内定率は82.6%で、昨年度同期と比べ9%も低い状況にあった。設置から20年の間、世界的な景気後退の影響のほか、労働環境では非正規就労者の増加など時代で変遷し、近年では働き方改革などが課題となっている。また、新型コロナウイルスによる人々の行動や経済活動の制限など、先行き不透明な状況により、人々の価値観やライフスタイルが多様化する中、テレワークやオンライン面接の導入といった新たな働き方の普及や就職活動スタイルの変化なども進んだ。
最近の若者を見ると、同センターの開設当初と真逆の売り手市場にあり、新卒者の就職が早々と決まる一方で、仕事に対する理解や関心を十分持たないまま社会人となる傾向があり、転職を希望する人も増えている。また、人口減少に伴い、県外大手企業の地方学生の採用拡充から、県内では新卒採用が計画通りに進まず、中途採用の増加等で対応している企業もある。
加えて、若者、特に女性の県内定着が課題となるなど従来とは異なる対応が求められており、県では同センターの運営を通じて、これまで培ったノウハウやネットワークを効果的に活用しつつ、本県の将来を担う人材が安心して県内で暮らし、働くための手助けができるよう引き続き取り組んでほしい。
③県立南宇和病院の診療体制の充実に向け、今後どのように取り組んでいくのか。
同じ健康保険料を支払いながら、住む地域によって受けられる医療の質に差が生じることは大きな問題であり、地域住民が住み慣れた地域で安心して暮らすためには、どの地域であっても質の高い医療を適切に受けられるように制度を改正すべきである。
特に愛南地域の医療格差は顕著であり、常勤の麻酔科医がいないため、救急搬送の際に全身麻酔などを要する緊急手術ができない、夜間救急では病状によっては専門医が不在のため、宇和島市又は高知県の病院に頼らなければならない状況が長年続いている。県立南宇和病院は、愛南地域唯一の救急告示病院として24時間365日の救急対応に当たる同地域の基幹病院として地域住民の健康維持・管理や予防医療など地域医療の根幹を支える役割も期待されていることから、常勤医師の確保と将来を見据えた若手医師の育成、診療体制の充実が重要な課題である。
そのため、県では、えひめドクターバンクや愛媛プラチナドクターバンクを通じた無料職業紹介事業の展開、地域医療医師確保奨学金や愛媛大学と連携した寄附講座を活用した県内で従事する医師の養成などの医師確保対策を行うほか、同病院内でオンライン診療を導入するなど、様々な独自の施策を講じている。また、南宇和郡医師会や地元医療機関の医師が他地域にはないほど密に連携し、同病院への診療支援や急患対応にも当たるなど、長年築きあげた信頼関係により、愛南地域の医療を支えている。
しかし、都市部に医師が集中するなど地域医療格差は広がっており、地域住民の健康と暮らしを守るためにも、同病院における医師の確保や地域連携の更なる深化に取り組むことを切に願う。
④高速道路ネットワークのミッシングリンクの早期解消と、機能強化・利便性向
上に向けた取組みはどうか。
県は、7年度の重要施策提案・要望の最重点項目の一つに高規格道路の整備推進を掲げ、高速道路ネットワークにおける三つのミッシングリンクの早期解消とネットワークの機能強化・利便性向上に向けて、国に対し力強く要望を行っており、今年度は、愛南町民の念願である、未着手区間の御荘~一本松間が事業化され、地域の人からも驚きと喜びの声を多く聞いた。
しかし、事業化がゴールではなく、一刻も早い着工、完成に向けてスピード感を持って取組みを続ける必要がある。高速道路等はネットワークを形成してこそ、地域経済の振興や交流人口の拡大、防災減災等の面で本来の機能を発揮でき、住民の生命や暮らしを守り、地域を次世代につなぐ命の道として極めて重要な役割を果たすことから高速道路の早期整備が強く望まれる。しかし、県内の国・県道の改良率は、一昨年4月現在で75.9%と全国41位で、全国水準の85.7%を大きく下回る。
このような状況も踏まえ、知事を先頭に県や各市町からも粘り強く要望しており、県議会でも先月、超党派で東中南予から9人の議連メンバーと共に国に要望を行った。それぞれの地域の議連メンバーから地元の実情を踏まえ、三つのミッシングリンクの早期解消、松山外環状道路の整備推進、暫定2車線区間の4車線化、一般国道バイパスの整備、防災減災対策等としてのトンネル整備・改築に係る個別補助制度の創設を強く求めた。それぞれ前向きな回答を得たが、他県との競争に打ち勝つためには、要望活動を積み重ねて、国に熱意を持って必要性を訴え続けることが重要である。
⑤切迫する南海トラフ地震を踏まえた愛南町を中心とした津波対策の現状と、今後の取組みはどうか。
本県は、海岸線延長が全国5位の約1,700kmと長く、沿岸地域には多くの県民が暮らしている。東日本大震災を契機として、巨大地震に備えた津波対策の重要性が認識され、本県でも海岸等における防災・減災対策に積極的に取り組み、海岸堤防のかさ上げや補強工事、水門等の耐震工事など県内各所で海岸保全施設の整備を実施している。
このような中、元日に能登半島地震が発生し、家屋倒壊等による大規模な人的被害や道路・河川などのインフラ機能が損なわれる甚大な被害に見舞われた。特に沿岸部の一部地域では、津波により壊滅的な被害を受けた住宅も多く、私自身、大きな衝撃を受けるとともに、愛南町でも不安を感じる多くの声を耳にした。
また、4月に豊後水道を震源とする地震が発生し、同町で本県初となる最大震度6弱を観測したほか、8月の日向灘を震源とする地震発生に伴い、気象庁が初めて南海トラフ地震臨時情報を発表し、注意を呼び掛けるなど日本全体が緊張感に包まれた。
一たび南海トラフ地震が発生すると、直接的な地震被害のみならず、宇和海沿岸には巨大津波の襲来が予測され、特に津波到達時間の短い同町では、甚大な被害に見舞われる可能性がある。同町も高台への避難道の整備を始め、ハザードマップの周知徹底や夜間避難訓練など様々な取組みを進めている。県では、同町御荘での海岸堤防のかさ上げや、地震津波発生時に予想される河川への津波遡上に対する河川堤防のかさ上げを計画するなど、南海トラフ地震に対する沿岸部の津波対策を着実に進めており、心強く感じる。
一方で、これまでの度重なる地震により、迫りくる南海トラフ地震に対する県民の危機意識の高まりも感じており、愛南町でも津波対策の一層の推進を望む声が多い。
⑥紫電改展示館の事業の進捗状況はどうか。また、今後、どのような方針で整備を進めていくのか。
紫電改は太平洋戦争末期に開発されたゼロ戦に代わる戦闘機で、日本国内において唯一現存する機体が愛南町の展示館に保存されている。当時、機体が海に入るのを目撃した地元住民の証言では、昭和20年7月に久良湾に着水したとのことで、終戦まであと3週間のことだった。海底で偶然発見された機体は34年の時を経て、54年に引き揚げられ、愛南町で40年以上も恒久平和を願うシンボルとして展示されている。
この紫電改にまつわる戦時中の有名なエピソードとして、今井琴子氏と飛行隊との心揺さぶられる実際にあった人間ドラマは、「紫電改~君がくれた紫のマフラー」としてミュージカルにもなった。今井氏が結婚の際に持参した白無垢の布を紫に染め、済美高等女学院の生徒が刺繡し、隊員の無事を祈り38枚のマフラーをプレゼントしたエピソードは象徴的なシーンとして描かれ、実物がエピソードと共に展示されている。
紫電改は豊後水道で戦闘した後に何らかの理由で久良湾に着水したと言われ、四つあるプロペラは均等に90度後方に向けて折れ曲がっている。専門家らによると、不時着の際に水圧で折れ曲がる現象で、墜落ではなく高い操縦技術により着水したとのことである。機体を引き揚げた際に、遺体や遺品は見つからなかったが、日本の未来のために、そして大切な人を守るために戦い、若くして命を失った人々を思うと、やりきれない気持ちになり、戦争で亡くなった多くの命の上で生かされている我々は、二度と戦争を繰り返してはならない責任があることを忘れてはならない。
展示館の老朽化を受け、令和8年度完成に向けて、全国にも多くのファンを有する同館をリニューアルし、更なる魅力向上のため、整備検討委員会で具体的な整備方針を検討しており、今年10月に最終計画の承認が得られたと聞く。新たな展示館は延べ床面積が690㎡と現在の約1.8倍に広がるほか、かつて飛んでいた空と発見場所の久良湾が一望できる設計である。新たに戦争経験者の声の紹介や来場者からの平和メッセージを展示するスペースも設けるなど、平和の重要性やありがたさを再認識できる内容になっている。
先日、「紫電改343」の漫画家と会う機会があり、県の前向きな取組みを喜んでおり、完成後には趣向を凝らしたコラボイベントの定期的開催等も含め、前向きな話があった。地元や日本にとっても、戦争の悲惨さや、戦争を二度と繰り返さないことを後世に伝える新しい展示館の完成により、南予の交流人口の増加や観光振興、歴史学習にもつながると期待する。来年は戦後80年を迎える中、戦争体験者が減少する現代においては戦時中に使用された紫電改の存在価値や貴重性は更に増すと考える。