一般質問に登壇
本日は今任期3回目の一般質問に登壇しました。
少し長くなりますが、質問要旨を貼り付けます。
1 大規模災害時の孤立集落対策をどのように進めていくのか。
今年1月に最大震度7を観測する能登半島地震が発生し、本県でも、4月に豊後水道を震源とする最大震度6弱の地震が発生したことにより、地域住民から地震に対する不安の声や南海トラフ地震を心配する声を多数聞く。
政府による能登半島地震発災後の対応を検証した自主点検レポートでは、地震の発生が日没近くであったことに加え、地理的な制約のある半島で道路が寸断されたこともあり、被害状況の把握や物資の輸送に時間が掛かった点が課題として挙げられており、今後は高性能の無人航空機を始めとした最新技術を開発・活用するとともに、道路の啓開手順を定めた計画を策定するほか、避難所の運営では長期の断水により衛生環境が十分ではなかったため、災害時にトイレを確保する計画の策定や防災用の井戸の整備、トレーラーハウスを迅速に届ける仕組みを検討するとされた。
本県でも、能登半島と同様に陸の孤島となることが予測される地域は至る所にあり、特に、幹線道路が国道56号のみである愛南町や一本道しかない佐田岬半島などでは、大規模災害時には道路の寸断を免れることができず、長期間にわたる深刻な孤立集落問題の発生が予測される。
同レポートを踏まえ、飲料水や食料、大量の生活用水の確保対策を始め、それぞれの地域に合わせた災害時の孤立集落対策を早急に講じる必要がある。
2 災害時の医薬品供給体制について
(1)モバイルファーマシー導入により期待される効果はどうか。また、今後どう活用していくのか。
大規模災害時には医薬品の供給不足が懸念され、東日本大震災では、津波の被害により大半の薬局が機能を失い、DMATによる災害処方箋への対処ができなかったほか、緊急支援物資の中に医薬品があっても、調剤設備がなく配薬ができないなどの問題が発生した。このような災害の現場を目の当たりにした宮城県薬剤師会等が主体となり、ライフライン喪失下でも調剤や活動が可能となるよう、モバイルファーマシーが考案された。
モバイルファーマシーにより、災害時等に薬局が利用できない場合でも必要な医薬品を迅速かつ効率的に提供することが可能となるほか、地域の薬剤師と連携し、医療ニーズを直接確認して住民とのコミュニケーションを深めることで、地域全体の健康管理が可能となる。
熊本地震では、発災翌日にはDMATの拠点にモバイルファーマシーが派遣され、避難所を巡回する医療チームが持ち帰った処方箋をもとに調剤し、翌日に避難所の患者に届けるシステムが定着した。また、能登半島地震では、延べ7台ものモバイルファーマシーが派遣され、大いに活躍しただけでなく、その活用方法も更に進化したと聞く。
災害対応の経験から災害医療での薬剤師とモバイルファーマシーの有用性と必要性が認識される中で、県では、今回の補正予算案でモバイルファ ーマシーの整備に要する経費を計上しており、関係者の尽力に感謝する。
今後は、整備を機にそれぞれの地域の薬剤師会や地域薬局の薬剤師と密に連携を図り、有事に備え防災訓練を重ねていくことが重要である。
また、現状では法律により災害時等にしかモバイルファーマシーでの調剤はできないが、過疎地医療において実証実験を行い、その有用性を証明することで、法改正に向けたアピールになることも期待する。
(2)災害薬事コーディネーター制度を含め、災害時の医薬品供給体制充実に向けた取組みはどうか。
災害薬事コーディネーターは、災害時に必要な医薬品等の確保・供給や薬剤師の確保・派遣などの統括的な調整を行うほか、現場で活動する薬剤師と災害対策本部をつなぐ役割を担う。
災害医療コーディネーター制度は、国が運用や活動内容について定め、養成研修などを行っている一方で、災害薬事コーディネーター制度は、各都道府県によって運用等が定められている。主な活動内容は、仮設調剤所の立ち上げやモバイルファーマシーの設置場所の手配などであり、災害医療コーディネーターとは異なる。国の第8次医療計画には、災害医療の提供において災害薬事コーディネーターの必要性が記されており、災害時の混乱を防ぐためにも、制度の導入は急務と考える。
東日本大震災では、支援医薬品が大量に届いていたが、現場のニーズとのミスマッチにより必要な医薬品が現場に届かないという問題が発生した。
また、医薬分業も進み、2010年度の全国の医薬分業率は63.1%であったのに対して、昨年度は80.3%と、地域での医薬品供給において東日本大震災の発災時よりも薬局の薬剤師の活用が重要になっている。
災害時には薬局間と薬剤師間の連携が重要であり、平時からそれぞれの地域で各病院等と連携を取って働いている薬剤師が災害薬事コーディネーターとして調整役を担う必要があると考える。
本県では、災害薬事コーディネーター制度が導入されていないが、高知県では、84人の同コーディネーターを配置するなどして、災害現場とのミスマッチが発生しないように体制を構築している。
先行事例を取り入れ、生かしていくことが行政の使命である。
3 水道施設の耐震化にどのように取り組んでいくのか。
4月の豊後水道を震源とする地震では、水道管の破裂や漏水が問題となった。能登半島地震でも一部の地域で断水が続いている状況から、南海トラフ地震による甚大な被害が予測される本県でも、水道施設の点検や一刻も早い耐震化が求められる。
本県では、法定耐用年数である40年を超える水道管が県全体で17.6%、延長にして1,908kmとなっており、基幹管路の耐震適合率は2022年度末時点で33.6%と、全国平均の42.3%を下回っている。
地域住民の生活を支える上水道施設は、地震によりその機能が失われると被災者の衛生環境に関わるほか、災害時の医療機関での対応にも大きな影響を及ぼし、特に、高齢者や小さい子どもを抱える家庭にとっては命に直結す る問題となる。
能登半島地震の支援に向かった人からは、現地では生活用水が圧倒的に不足していたと聞く。また、先月の四国市長会議で決定された地域課題に対する国への要望には、水道施設の耐震化支援の拡充を求める要望も含まれており、基幹管路等以外の施設についても補助対象とすることや補助率の引上げを求めている。各自治体が共通して危機感を感じており、水道施設の耐震化は急務である。
4 老朽化が進む道路施設の点検や管理に今後どのように取り組んでいくのか。
先月、新居浜市で老朽化したカーブミラーが強風で倒れ、小学生が怪我をする大変危険な事故が発生した。事故後、このカーブミラーは同市の許可を得ずに根元付近で取り外しができる構造に加工されていたことが判明し、同市内では、同様の加工をした他のカーブミラーも見つかったため、早急に取り替える方針であると聞く。
今回の事故を機に報道機関が行った調査では、県内12市町がカーブミラーの全数を把握しておらず、更新期間などの基準を設けて管理している市町はなかった。また、県が管理するカーブミラーや道路標識の緊急点検では、88か所において倒壊のおそれがあることが判明した。
県道の標識は、2012年に点検マニュアルを作成して計画的に管理しているが、カーブミラーについては、点検マニュアルがなく、職員の見回りや地域住民からの通報により点検や修繕を行っているのが現状である。また、管理主体が自治体ではない場合もあり、大洲市や鬼北町では、現在でも地元自治会や交通安全協会にカーブミラーの設置や点検を任せているという記事も目にした。
今後、それぞれの市町で点検や管理基準の作成を行うと聞くが、市町管理の道路施設が適切に維持管理されるためにも、県として市町への技術的助言などが必要である。
カーブミラーを例にしても、道路施設の老朽化の進行が懸念されるが、事故が発生すると道路利用者等への被害につながる危険性を含んでいる。橋りょう等の大きな施設の損傷であれば、維持更新にも多大な費用を要し、通行制限による社会的損失も大きいと考える。
老朽化に起因する事故を起こさないためには、日頃から適切な点検や維持管理を行い、道路の安全性を維持していくことが重要である。
5 県医療的ケア児支援センターの支援実績への見解はどうか。また、今後どう支援体制の強化を図るのか。
2021年に議員立法で制定された医療的ケア児支援法では、自治体の医療的ケア児への支援が努力義務から責務に変更され、基本理念として、個々の医療的ケア児の状況に応じて切れ目なく支援を行うことや、成長して児童ではなくなった後にも配慮した支援を行うことなどが掲げられている。
先月には、国会において、医療的ケア児支援法の見直しと法改正を目指し、超党派の医療的ケア児者支援議員連盟が発足した。
まだまだ万全な支援体制とは言えないが、少しずつ地域生活での受け皿が整い、医療的ケア児やその家族を取り巻く状況は全国的に改善しているように感じる。しかし、保育所への通園や希望する学校への就学、支援の地域間格差など、課題は山積している。このため、医療的ケア児やその家族が迅速に多方面から包括的な支援を受けることができるよう、医療、福祉、教育の各分野が連携した地域全体での支援体制を整備するため、2年前に本県で医療的ケア児支援センターが設置された。
同センターの利用者からは、感謝の声がある一方で、「包括的に対応し得るセンターなのに機能が不十分ではないか」「市町の窓口につないでそのままにするのではなく、センターが中心となって支援体制が軌道に乗るまでトータルコーディネートに関わるべきではないか」「勤務体制が常時ではなく時限性で業務体系も兼務となっており手が回っていないのではないか」などの厳しい声も聞く。県として懸命に取り組んでいると思うが、このような当事者の声を聞くと、改善策を講じる必要があると思う。
医療的ケア児支援法が制定され、同センターを設置したが 、内容が伴っていない支援体制であってはならない。
幼少期から医療的ケア児と一緒に過ごし、医療的ケア児を知る環境が重要であり、それにより、地域住民全員が医療的ケア児と当たり前に接することができるようになると思う。そのためにも、包括的な支援を継続し、地域と医療的ケア児とをつなぎ続ける医療的ケア児支援センターであってほしい。