2021.08.10

愛南町視察後の理事者との意見交換

先日の愛南町視察で聞いた課題等をまとめて、

県庁の担当課理事者との意見交換と要望を行いました。

 

 

 

以下、視察内容と課題。

調査概要

1 従来、真珠母貝となるアコヤガイは宇和海沿岸海域で自然に採取することができていた。しかし、平成6年、貝柱が赤く変色する病死が発生しため国産のアコヤガイと中国産のアコヤガイの交配したアコヤガイを導入した。

その後、順調に養殖ができていたが、3年前から稚貝のへい死が始まり、年々悪化しているが、原因が判明していない。

愛媛県で養殖する真珠母貝は、全国の約7割、愛南だけでも年間約2,000万個を三重県・長崎県等の真珠産地に出荷しているが、全国で病死が発生している。

母貝養殖業者は、毎年4月に稚貝を仕入れ、1年半養殖して真珠養殖業者に出荷する。今年は、例年より稚貝のへい死の時期が早まっている。令和3年度の稚貝のへい死の状況は地区によってばらつきがあるが、6月中旬から始まり5~9割がへい死している。

2 御荘湾には、県管理の2級河川が2本流れ込んでいる。例年、梅雨や台風などにより大雨が降った際には、流木やシダ類などのゴミが大量に湾に流れ込み、養殖筏に漂着し、養殖に支障をきたしている。業者も自助努力でゴミの撤去に取り組んでいるが、量が多いうえに、巨大な樹木も含まれることから支援をお願いしたい。

また、河川から海に流れ出るまでに、防ゴミネットなどで流出しないような対策を講じて欲しい。

3 天然のアコヤガイが病死し、強い貝を作るため国産と国外産のアコヤガイの交配で作った貝を導入したが、これも原因不明の病死が続いている。全国の真珠母貝の7割の生産地で、このような状況が続けば愛媛県だけでなく、日本の真珠産業がなくなってしまう。全国的な問題として取り組まなければならない。

 

調査目的 愛南町の水産業の現状と問題点
調査場所 愛南町役場(清水町長、水産課長、愛南漁協職員)
日  時 令和3年7月27日 16:00~17:15
調査概要

 

1 愛南町役場水産課長 概要説明

愛南町の水産業の生産額は205億円であり、内真鯛養殖116億円、ブリ養殖69億円等養殖だけで182億円を占めている。養殖真鯛は1万1,000トンの出荷で全国シェアの20%を占めている。

養殖鯛は、令和3年度のオリンピック需要を見込んで多く養殖したが、コロナ禍の影響もあり売れない。しかし、生き物であるため餌をやらなければならず、経費がかさんでいる。本年5月20日からオンラインショップ、スシロー、モス真鯛バーガー等も販売したが、それだけでは養殖真鯛全体の出荷にはつながらず、売れ残り、安価が続いている。

鯛の生産単価は750円/㎏であるが、現在の売値は500円/㎏であり、経営が成り立たない。

 

2 愛南漁協職員 概要説明

真珠の稚貝は、令和元年からへい死が始まり、元年は8月末に終息、令和2年は8月に終息したと思ったが、秋までへい死が続いた。令和3年はへい死の時期が早まっており、いつ終息するか分からないが、年々悪化している。

北部海域で育てるとへい死は少ないが、漁業権の問題で試験レベルの1万貝しか北部では養殖できないが、500万貝の養殖場所が必要である。

中国、ドバイ、ペルシャから母貝を入れ、交配しているがへい死が止まらない。また、強い貝はいい真珠ができない。

養殖業者は、へい死が発生する平成8年までは300件ほどあったが減少が続き、現在約100件になっている。収入も大幅に減っている。

養殖業者の平均年齢は65歳で、ある程度財産を持っているため、今からの新たな設備投資はためらっており、この状況が続けば廃業を考えている者も多い。

 

〇 清水町長からの要望事項

1 10万の真珠の稚貝を海に入れても母貝には3~5万しかならないため、収入が3~4百万円にしかならない。そのため、稚貝の購入補助と経営資金の支援を望む。

2 御荘湾に流れ込んだ2級河川からの流木やシダ等が養殖網に絡んでいるので除去の支援を望む。ゴミが御荘湾に流れ込む前に、防護ネット等で除去できないか。

3 水温が2℃上がって、天然のアコヤガイが、その変化についていけない。ハーフ貝を導入したがへい死が続き、残った強い貝は真珠の品質が悪い。

4 鯛の生産単価は750円/㎏であるが、現在の売値は500円/㎏であり、経営が成り立たない。

5 僧都川、蓮乗寺川、惣川水系の河床掘削をはじめ、河川整備や堤防補強を早急に行って頂きたい。惣川水系では先日の大雨でも氾濫し近隣家屋に浸水の被害が出ている。町の中心を流れる僧都川でもあと少しで氾濫するところだった。もし氾濫や堤防が決壊するようなことがあれば甚大な被害が出る。

 

調査目的 真鯛の選別・出荷・養殖状況と問題点
調査場所 真鯛養殖業者 安高水産㈲ 選別場・養殖場
日  時 令和3年7月28日 8:00~9:00
調査概要

真鯛の養殖業者である安高水産㈲の安高社長の案内・説明で、選別、出荷、エサやり、養殖場を視察した。

安高水産では、深浦湾の沖合にいけすを54基設置し真鯛を養殖している。通常だと1基に約4万匹の真鯛が入っており、合計で170~180万匹の養殖となる。しかし、コロナ禍で消費が落ち込み、現在400万匹の真鯛がいけすに入っている。 真鯛の稚魚は、和歌山の近大から購入しており、2年養殖して出荷する。稚魚は、始め全て雌であるが、途中で性転換し雄、雌が半々になる。

出荷は、養殖2年物で注文に応じ大きさを揃えて、一つのケース(下左写真赤、黄のケース)に12匹~6匹入れて、海水の入ったトラックで200ケース(2,400~1,200匹)単位で出荷する。出荷は、元旦以外毎日5,000~1万匹/日出荷している。選別は、自動で大きさ、重さを測れる選別機を導入している(下左写真奥の円型の器械)。

出荷までに2年養殖するが、1年目に一匹ずつワクチンを打って、病気を防いでいる。(下右写真ワクチン船、各いけすを回って接種)

 

エサは、船で養殖網を二つ持ちあげ、大砲のような機械でエサを与える。

出荷の様子、エサの量と魚の重量の関係等を、コンピューター管理している。

 

例年だと170万匹~180万匹の真鯛の養殖だが、コロナ禍により400万匹の真鯛がいけすに入っている。価格は600円~700円/㎏で原価割れしている。生き物なのでエサは与えなければならず、経費がかさむ一方である。

●まとめ

1 愛媛県で全国の真珠母貝の7割を養殖しているため、ここで養殖ができなくなると、日本の真珠産業が壊滅的な打撃を受ける。愛南町、愛媛県だけの問題とせず、関係他県、

国等と連携して原因究明、支援に取り組むべきである。

 

2 流木ゴミ問題は、地元である愛南町、利害関係者である養殖業者の協力により、河川管理者である愛媛県の支援により対策を講ずるべきである。

 

3 県の支援などにより学校給食、スシロー、モス真鯛バーガー等で消費拡大に取り組んでいるが、取引値段が安く、県の補助がないと成り立たない。一過性の対策では、根本的な改善に繋がらない。同様に、養殖業も支援しなければ経営が成り立たなくなる。

 

4 既に被害が出ている惣川水系はじめ、僧都川、蓮乗寺川、の河川整備を加速させる必要がある。

 

 

 

魚
みかん

後援会事務所Office

中田こうたろう後援会事務所

〒798-4110
愛媛県南宇和郡愛南町御荘平城3740

Tel
0895-73-0500
Fax
0895-73-2822
E-mail
koutarou19850226@gmail.com